患者さんからの質問です。
C1の虫歯はほっといたら治るの?と言う質問です。
結論から言うと治りません!
まず、虫歯の進行度合いのことについて説明しますね。
C0からC4まであります。
C0: 歯のエナメル質表面のカルシウム分が溶け出している状態で実質欠損は無い状態です(穴は開いていない状態)。表面がチョークのように白く変色している状態です。
歯と言うのは常に食事をしたりするとそのカルシウム分は細菌による酸に溶かされます。
ですが唾液の中にカルシウム分があるので食後にそれが溶けた分を補ってまた再石灰化を起こして均衡が取れた状態になっています。そうすると虫歯にはなりませんがそのバランスが崩れ溶ける方向に進んでいくと虫歯になっていってしまいます。
C0の状態と言うのはまだ再石灰化することによって自然に治癒できる状態です。
フッ素を応用したり、キシリトールなどを利用して再石灰化を促進すれば削らなくても大丈夫な状態といえます。
C1: この状態はエナメル質に限局した実質欠損を伴う(エナメル質内に穴が開いた)虫歯の状態です。
穴が開いて、むし歯菌もエナメル質内に潜んでいますので、そのままの状態では開いた穴はふさがりません。
虫歯の部分を取り除いて詰め物をする必要があります。
幸い、さほど削る必要は無いので、少し虫歯を取り除いて、レーザーで殺菌したりして、光重合レジンと言われる樹脂で埋める治療をすることが多いです。
C2: この状態は虫歯がエナメル質を超えて象牙質まで及んでいる状態で象牙質と言うのは知覚がありますので無痛で治療するには麻酔を使う必要が多いです。
C3: この状態になると虫歯が歯の中の神経(歯髄まで)まで及んで歯髄炎を起こしている状態になります。 それゆえ神経の治療が必要になります。
C4: この状態は残根状態といわれる状態で、虫歯が歯の根っこまで及んでしまった状態で抜歯をしなくてはいけない状態です。
ざっとこんな感じですので、C0の段階では自然治癒可能ですが、C1になると自然には治りません。
穴が開いたものは自然には塞がりません。
再石灰化によって自然に虫歯が治癒するのは白濁しているレベルの虫歯の話で、明らかに穴が開いている虫歯が自然に穴が塞がって治ることはないです。
また、「C1虫歯の場合それ以上進行しない可能性はないのか?」と言う話もありますが、進行しない可能性は無いことはないです。溶けるよりも再石灰化する度合いが高ければ進行しませんが、それはその人の口腔内の清掃状態や細菌の種類、唾液の性状や分泌量、フッ化物応用の状態などにより一概に言えることではありません。
ただ穴が開いている部分は普通の状態よりも表面がザラザラしていてプラークなどが付着しやすい状態であることは確かですので虫歯が進行するリスクのほうが高いのではないかと思われます。
詳しくは歯科医師にご相談ください。