歯みがき粉のお話・・・

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

歯磨き粉のお話。

よく歯磨き粉は何がいいですか?と聞かれます。

「何でもいいです、歯みがき粉をつけなくてもいいです。」とよく言ってきました。

歯にこびりついた歯垢はバイオフィルムと言う膜に覆われています。

このバイオフィルムはなかなか手ごわくて、なかなか殺菌剤が浸透していきません。

CPC(塩化セチルピリジニウム)やCHX(クロルヘキシジン)などが使われていますがバイオフィルムからはがれた浮遊細菌には効くようですが、バイオフィルムの中には浸透していかないそうです。

また、IPSP(イソプロピルメチルフェノール)というものもあります、これだけが唯一バイオフィルムの内部に浸透して殺菌効果があるそうです。ある程度効果が期待できそうですが・・・

歯みがき粉はお風呂の洗剤に似ていると思います。

「擦らずにふりかけるだけでお風呂の汚れが取れます」とコマーシャルでは言われますが、しつこい汚れがそれだけで現実に落ちるとは言いにくい・・・

スポンジで擦ってやると確かにもっとよく落ちる・・・

歯みがき粉も殺菌剤だけに頼ってこびりついた汚れがすべて取れるかというと無理だと思います。

歯ブラシによるブラッシングの補助として使うようにすれば効果があるのではないでしょうか。

以前細菌学の先生にいろいろお話を伺ったことがあります。

口腔内の悪玉菌(歯周病菌など)をすべてやっつけることは不可能だそうです。

細胞の中にも入り込んでいるので感染すれば無にはならないそうです。

そうなると殺菌剤でも抗生剤でも細菌の量は減らせても完全に駆逐することが不可能なら、お口の中は(他のところも同様ですが)様々な細菌がいます。

ある種の乳酸菌が増える環境だと悪玉菌であるう蝕菌や歯周病菌などが増殖しにくいそうです。

確かに居るが増殖しないと悪さをしにくい・・・

そういう環境を作っていくことが大切なのではないでしょうか。

普通のう蝕や歯周病のリスクの軽度な場合はどんな歯みがき粉を使っても問題ないと思います。さらには使わなくても機械的な清掃と唾液の作用を優先させるほうがいいのではないでしょうか。

う蝕や歯周病のリスクが高い方はまず口腔内の細菌の分布を変えていかないといけないので、すごく多い悪玉菌を減らすために機械的なブラッシングはもちろんIPMPなどの入った殺菌剤も併用してバイオフィルムを壊し、そこで善玉菌であるL8020のような乳酸菌が入ったデンタルリンスで善玉菌を定期的に補っていくのが良いのではないかと考えています。

市販の歯みがき粉と歯科医院専用の歯みがき粉の違いは

歯科医院専用といわれるものは

1:  発泡剤が微配合、

2:  清掃剤(研磨剤)無配合、

3:  高濃度フッ素配合(市販できる濃度いっぱい)

といった感じで、あまり泡立たない、歯を傷つけない、再石灰化を促進してエナメル質を強くするといった特徴があります。

あまり泡立たないとそのメリットは

1:  長時間磨ける
2:  うがいの回数が少なくてすむ
3:  それゆえ歯みがき粉に含まれているフッ素が長時間口の中に停滞して再石灰化を促す。

などの効果があります。

一般に売られている歯みがき粉はスカッと爽快感を出すために発泡剤をたくさん入れ
歯を白くするために清掃剤(研磨剤)をたくさん配合し、フッ素も入っていますが濃度は書いてないものが多いです。

そういう面からは歯科医院専用で売られている歯みがき粉のほうがどちらかと言うと良いとは言えると思います。

でも何度も言いますが普通の方はそれほど大差はないかと・・・笑

それよりは歯ブラシをこまめに代えていただくほうが清掃効果があると考えています。

リスクの高い方は先ほどお話したように殺菌作用のある歯磨剤の利用とL8020の利用がより良いのではないでしょうか。

 

あっ!  インプラントをされた方はちょっと違います。フッ素入りじゃないものじゃないとインプラントが腐食するということが言われていたりします。

そうじゃないという論文もありますが、どちらかはっきりしませんね。

 

将来の結果待ちといったことでしょうか。

 

最新情報でした。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加