ドライソケットについて
抜歯後の治癒の仕方は以前お話したこともありますが、歯を抜いて穴が開いて骨が露出したところは血餅と言われる血の固まりで覆われます。
血餅が取れて骨が露出して感染している状態のことをドライソケットと言います。
血餅には役割があって、それが残っていることによって傷口を保護し感染から守っているわけですが、抜歯後にうがいを頻繁に行ったりして血餅が取れてしまうと感染のリスクが増します。
血餅の上のほうはどうしても唾液で溶けますので少しくらいは血の味がしますし、つばを吐いたときに当日は血がにじむくらいはありますので気にしてあまり頻繁にうがいをしない方が良いです。
また、抜歯前に感染が慢性的にあった歯の場合、生体反応で慢性的にある感染から他のところを守ろうとして骨を硬くしてしまう場合があります。硬化性骨炎といいますがその場合は抜歯しても抜歯窩から出血せず血餅が出来にくいことがあります。その場合はわざと骨に穴を開けて出血させて新しい骨が出来るようにする処置をする場合があります。血が出ることは悪いことではなく、ある程度は出ないといけないんですね。
なお、他にも飲まれている薬によっても感染しやすかったり、全身的な免疫力の低下によっても感染しやすかったりします。免疫力(抵抗力)には個人差がかなりあるようです。
特に高齢者の場合やアレルギー疾患が重度な場合は感染しやすくなるようです。
ここまでは予想がたやすく付くのですが・・・
基本的に保険診療の場合抗生剤の予防投与は出来ません。
心臓疾患のある患者などは特例で認められますが、感染の病名で無い転位歯、捻転歯などただの抜歯の場合抗生剤は認められません。
個人差があるのに医師の裁量は認められていないようです。(あまり言うとにらまれますので軽くこの辺で)
感染して初めて出せると言うわけですが、それも変な話だなぁと思います。
ですが、症状も何も無いのに薬を出すのもおかしいですし・・・判断迷うところです。
抜歯翌日に洗浄に来ていただくのが基本ですが、なかなか、仕事やらで来院できない患者さんもいらっしゃいますので、何も無ければほとんど大丈夫ですが、結構痛みがあっても我慢される患者さんもいらっしゃいます。
どうぞ我慢されなくて良いですから、お知らせください。
どうしても一般的な判断で薬を処方してしまいますので(それしか方法が無いのですが)、
その日の体調などによっても感染しやすかったりもまれにあるようですので我慢しなくて良いですからね。